異文化コミュニケーション|ハワイ|TH Associates
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異文化コミュニケーション

ICT企業の海外部門の管理部にいた1990年代、多数の海外拠点の設立に関与した。90年代初め、インドとマレーシアで通信機器製造のための 合弁会社を設立しようとしていた。インドでは、最終的に4社(製造合弁会社2社、販売会社、リース金融会社)を設立することになったが、 その内の1社の合弁会社設立とマレーシアの合弁会社設立の準備が、同時並行的に行われていた。私は、両方の合弁契約の交渉を担当していた。

 

インド人は、ご承知の方も多いと思うが、議論好きで、交渉の相手としては、大変タフな相手である。私は、州営公社の幹部と交渉していたが、自分の主張をどんどん押してくるというスタンスで、対抗するためには、こちらもどんどん主張する必要があった。そうした交渉が続くと、   マレーシアでの交渉でも、慣性で同じようなスタンスで交渉してしまっていた。マレーシアの文化は、イスラム教がベースではあるが、穏健な 文化で、どんどん主張するというものではない。先輩の元クアラルンプール駐在員によると、困ったことがあれば、素直に困ったと言って、  言わば弱みを相手に伝えた方が良いと言う事だった。そうすれば、相手も一緒になって、解決策を考えてくれるという。

 

インドでは、取るか取られるかという交渉だったが、マレーシアでは、そうしたやや高圧的な交渉スタンスは、かえって反発を生み、まとまる ものもまとまらないということが、交渉も大分経過した後になって分かった。異文化間のコミュニケーションは、難しいものだ。

 

もちろん、どの国で仕事をする場合でも、その国の歴史、文化、国民性について事前によく勉強していくことが望ましいことは望ましい訳だが、仕事をしている上では、なかなかそうした事前学習の時間は取れないのも普通だ。

 

しかし、どんな異文化コミュニケーションの場面でも、良いと思われるスタンスはいくつかあると思う。

  • 常にWin-Winの道がないかを考える。ゼロサムゲームで、Give and Takeで一部は譲り一部は取るということしか合意できない場合も多いが、 自社と相手とは、同じ事柄でも物事の重要度に違いがあることを利用して、自社にとって重要な事項については、主張するが、相手にとって重要ではあるが、自社にとってはそれほどでもない事項については譲歩するというような道を見つけると、Win-Winに近い状況になると言える。

 

  • 先入観を持たずに、相手の言うことをよく聞く。相手の言っていることは、その会社なり、社会なりの要請、文化を反映したものなので、 相手の真意が何かを自分なりに理解に努めることが重要だと思う。Open to everything, attach to nothingと言われるが、異文化環境では、特に ステレオタイプな先入観を持たず、こだわりなく物事を見ることが、非常に重要だと思う。

 

  • 一人の人間としては、違いよりも共通点の方が多いと認識する。歴史、文化が違い、生活様式も違うが、一人の人間としては、共通点の方がはるかに多い。お互いに親がおり、家庭があり、子供がおり、愛情を向ける対象があり、意識しているいないに関わらず、本質的には平和、調和、愛のあふれた生活を送りたいと思っていると考えてよいと思う。そう思って話をし、交渉をしていると、膠着状態でも突破口が見つかる糸口になるかもしれない。

 

異文化コミュニケーションは、結局は、頭で理解するものではなく、経験して身体で感じるべきもので、つまるところ感性と人格という万国共通のベースが大事ということになるのではないかと思う。